フランスで人気の職業⑨:「外科医」の仕事とは?なり方や資格、収入について解説!
Work | 2020-07-07
フランスで人気の職業9位(ladepeche紙の調査による)に輝いた「外科医」。その魅力はどこにあるのでしょうか?
外科医の仕事の内容や一般の医者との違い、教育制度や収入などについてご説明します。
フランスの外科医は厳しい競争を勝ち抜いたエリート
フランスの医師は、おおまかに「一般医」と「専門医」に分かれます。
一般医はかかりつけ医制度における窓口的な役割を果たしており、地域ごとに当直制で勤務し、患者の病気や怪我の診たてを行います。専門医は一般医からの紹介に応じて、患者の治療にあたります。
医学部に入学する時点では両者の区別はなく、臨床研修前の段階で、試験の成績上位者のみが専門医の道へ進みます。
そのため、外科医をはじめとする専門医は、医者の中でも特に優秀なエリート的職業と認識されています。
フランスで外科医になるには?
フランスで外科医になるためには、どのようなプロセスがあるのでしょうか?
フランスの医師養成過程をふまえて、詳しく見ていきましょう。
成績優秀者だけが「外科医」への道に進める
フランスの医師養成プロセスは、第一過程・第二過程・第三過程にわかれます。
第二過程終了時にECN (全国順位付試験)を受け、第三過程での臨床研修地や分野の希望を出します。
研修医枠は地域・専門分野ごとに定められ、試験の成績がいい学生から順に研修先の希望が優先される仕組みです。おおむね上位50%ほどが専門医の道に進み、成績下位者は一般医に振り分けられるのが一般的。
各過程ごとの概要は以下のとおりです。
第一過程
大学1年目で教養と基礎医学を、2年目で生理学・解剖学・組織学等を学ぶ。
第二過程
大学3年目で症候学・薬理学・細菌学などを学ぶ。4年目〜6年目で病院実習。
第三過程
ECNを経て臨床研修。期間は総合医なら3年間、専門医は4〜8年間。
専門分野によって臨床研修の長さが変わる。総養成期間は最大14年
第三過程では、配属先の病院で、あらかじめ決定された分野の臨床研修を行います。臨床研修中でも大学所属となるため、病院勤務のかたわら講義を受けに行く必要もあり、非常にタフな生活スタイルになります。
研修期間は専門分野によって異なり、一般外科なら4〜5年、心臓外科のような更に専門性の高い分野であれば最大8年かかります。
大学入学から数えると養成過程の最大総年数は14年と、日本に比べて長期間に及びます。
専門医の年収は900万円程度。一般医と比較して高めの水準
フランスの専門医の平均年収は約900万円。月収ではおよそ75万円程度となります。専門性が高いぶん、一般医の平均年収(およそ700万円程度)よりも高めの水準です。
日本の感覚からすると安く感じますが、フランスでは医大の授業料もほぼ無料なので、教育にかかる費用が少なく済み、養成段階での家庭負担が小さく済む点がポイントだと言えるでしょう。
また、自由診療の行える「セクター2」に該当する医師の中には、より高収入を得ている人もいます。
フランスの外科医は専門性が高く優秀!
徹底した成績主義をくぐりぬけたフランスの外科医は、早期の専門分野決定と長期に渡る研修の結果、専門性の高い医師として育成されていきます。
養成過程修了後すぐに開業が可能という点からも、専門性に対する信頼が持てますね。
体力勝負の外科医は、需要に対する人員数が少なく、麻酔医や産婦人科医などと並んで、医師数の増加が望まれている職業です。将来的にも求められ続ける仕事だと言えるでしょう。