フランスの世界遺産42件!エリア別にまとめて紹介

西ヨーロッパの中央に位置し、世界史のなかでも主要な役割を果たしてきたフランスには、数多くの世界遺産があります。

国外のフランス領にあるものを含めると、2017年の世界遺産委員会会議終了時点で、世界遺産登録件数は45件。内訳は文化遺産39件、自然遺産5件、複合遺産1件で、国別ランキングではイタリア・中国・スペイン・ドイツに次ぐ第5位にランクインしています。

今回は、フランス国内の世界遺産42件を、エリア別にご紹介します。

フランスの世界遺産の巡り方

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フランスの世界遺産は、国土全体に点在しています。観光で訪れる場合は、絶対に訪れたいスポットを決め、そこから近い世界遺産を巡ると効率がいいでしょう。

地理的に離れていても、空港からのアクセスがいい世界遺産であれば、地域をまたいで周遊することも可能です。

パリ&イル・ド・フランスの世界遺産

首都パリと、その周辺のイル・ド・フランス地域からは、5件の世界遺産が登録されています。
日数の限られたパリ旅行でも訪れることができる、おすすめのスポットです。

パリのセーヌ河岸(1991年登録)

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パリの中心部、シュリー橋からイエナ橋までのおよそ8kmにわたるエリアを指します。ノートルダム寺院やエッフェル塔、ルーヴル美術館などの主要な観光名所が含まれており、西欧の大国としてのフランスの歴史を知ることができる文化遺産です。

ヴェルサイユの宮殿と庭園(1979年登録、2007年拡張)

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ブルボン王朝のルイ14世によって建てられた宮殿。フランスにおけるバロック建築の代表作とされ、左右対称に設計された広大な庭園も特徴的です。

迎賓に使用された「鏡の間」では、ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世の戴冠式が行われるなど、歴史的大イベントが多く生まれた場所。パリ中心部からのアクセスもよく、オプショナルツアーに組み込まれることも多い観光スポットです。

フォンテーヌブローの宮殿と庭園(1981年登録)

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「フランス最大の宮殿」として知られるフォンテーヌブロー宮殿。城下町全体が王の狩猟場であった「フォンテーヌブローの森」を囲むように建てられており、歴代フランス王の威容を感じさせる文化遺産です。

「フォンテーヌブロー様式」と称される独自の建築様式は、イタリアからもたらされたマニエリスム様式をフランス風に解釈したもので、優美で繊細な装飾が特徴。館内には、マリー・アントワネットの寝室も再現されています。

シャルトル大聖堂(1979年登録)

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モン・サン・ミッシェルに続き、フランスで2件目の世界遺産として登録されたシャルトル大聖堂。ゴシック様式の特徴である尖塔を持ち、「フランスで最も美しいゴシック建築」とも称されています。

シャルルマーニュ大帝が十字軍遠征の際にイスラエルから持ち帰ったとされる聖遺物「サンクタ・カミシア」を所蔵しており、古くからカトリック教徒の巡礼地としても知られてきました。

青色のガラスが印象的なステンドグラスから射す光は「シャルトルの青」と呼ばれ、尖塔と並ぶ名被写体です。

中世市場都市プロヴァン(2001年登録)

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パリ東駅からアクセスできる、旧石器時代の遺跡を含む中世都市跡。今も22の塔を持つ城塞が残されており、中世フランスの雰囲気に浸ることができます。

領主であったシャンパーニュ伯が十字軍遠征からバラを持ち帰ったことで、バラの生産地として発展し、今でもバラのジャムやポプリなどの名産品で知られています。

フランス東部の世界遺産

ワインの産地として有名なブルゴーニュを擁する東フランスには、5件の世界遺産があります。

ワイナリー巡りの旅に世界遺産鑑賞を組み込むのもおすすめですよ。

フォントネーのシトー会修道院(1981年登録、2007年拡張)

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中世のカトリック教会に大きな影響力を発揮した「シトー会」発祥の地として知られる修道院。

シトー会創立者であるクレルヴォーのベルナルドゥスによって1118年に設立され、フランス革命中に事実上消滅するまで、長く地域の中心的存在であり続けました。

質素を旨とする会派の特徴を表した教会建築や、修道士が自ら鍛冶仕事を行っていた作業場の跡などを見ることができます。

ヴェズレーの教会と丘(1979年登録、2007年拡張)

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現存するカトリック最古の会派である「ベネディクト会」によって建立された教会堂をいただく、ヴェズレーの丘。

かつてマグダラのマリアの聖遺物を収蔵していた「サント=マドレーヌ大聖堂」は、修道長の汚職によって没落するまで、カトリック教徒の巡礼地として知られてきました。

大聖堂の入り口を飾る「ティンパヌム」と呼ばれる装飾は、フランス国内におけるロマネスク彫刻の傑作としても有名です。

ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ(2015年登録)

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ブルゴーニュワインの原料となるブドウを栽培する畑も、文化的景観として世界遺産に登録されています。「クリマ」はブドウ栽培の行われる区画を指しており、ほぼ畑と同じ意味で使われる専門用語です。

世界遺産指定範囲には、ワイン取引の行われていたボーヌ市街や、ブルゴーニュ公国の首都であったディジョンの歴史地区も含まれています。

サラン=レ=バンの大製塩所からアル=ケ=スナンの王立製塩所までの煎熬塩の生産(1982年登録、2009年拡張)

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フランシュ=コンテ地域圏では、天日干しによる製塩が盛んでした。中でも、ジュラ県のサラン=レ=バンとドゥー県のアル=ケ=スナンには、ルイ16世時代に王立製塩所が置かれ、国営産業の地として発展した歴史を持ちます。

課税対象として国庫収入の源になっていた食塩の生産は国をあげた経済政策として推進され、塩坑や製塩工場を含む大規模な開発が行われました。

サラン=レ=バンは産業発展の地として、アル=ケ=スナンは都市計画的な面が評価され、それぞれ2009年と1982年に世界遺産として登録されています。

アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群(2011年登録)

紀元前5000〜500年頃に建てられたとされる、アルプス周辺の湖上住居。スイスやドイツ、スロヴェニア国内にも点在しており、先史時代のヨーロッパにおける農耕の事実を示すものとしても評価されています。

長く水没していたことにより、良好な保存状態で残っていたという、まさに奇跡と言ってもいい文化遺産。フランス国内では11箇所が登録されています。

北フランスの世界遺産

ドーヴァー海峡を挟んでイギリスをのぞむ北フランス。ポーランドやドイツなど、国境を接する国々の影響が残る世界遺産が多く登録されています。

ナンシーのスタニスラス広場、カリエール広場、アリアンス広場(1983年登録)

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かつてロレーヌ公国の首都として栄えたナンシー。ロレーヌ公を兼任していたポーランド国王・スタニスワフ1世が景観整備を行い、現在も残る広場などの姿を作り上げました。

1766年にロレーヌ公国がフランスに併合された後は州都となり、オーストリアやプロイセンなどの近隣諸国と国境を接する多文化都市として発展。

馬上槍試合が開催されたカリエール広場や、ロレーヌ公国・フランス間の同盟が結ばれたアリアンス広場など、歴史を偲ばせる名所が文化遺産に指定されています。

ランスのノートルダム大聖堂、サン=レミ旧大修道院およびトー宮殿(1991年登録)

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歴代フランス国王の戴冠式が行われてきた大聖堂は、ゴシック様式の傑作と評される名建築物。隣接するトー宮殿は、大聖堂で祭祀を行った大司教の居館でした。

サン=レミ聖堂はローマ文化の影響が色濃いバジリカ様式で、名前の由来となった聖レミの聖遺物を収蔵しています。

シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ(2015年登録)

ブルゴーニュと同様、シャンパーニュワインの産地も世界遺産に登録されています。

過酷な気候条件を乗り越えた人為的努力、カーヴの掘削による独特の景観創造、世界的に認知される象徴的イメージの確立などが登録基準とされました。

シャンパーニュ流通の要となった「シャンパーニュ大通り」には、モエ・エ・シャンドンやテタンジェといった有名メゾンが立ち並び、世界遺産の構成要素となっています。

ストラスブールのグランディルとノイシュタット(1988年登録、2017年拡張)

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ドイツと国境を接するフランス北西部の都市・ストラスブール。クリスマスマーケットでも有名なこの町の中心地が、世界遺産に登録されています。

「グラン・ディル」は、街の中心にあたる川に囲まれたエリアのこと。「ノイシュタット」は新しい街という意味で、ドイツ併合時代に発展した市街を指しています。

ドイツ田園地帯の建築物に似た家々が立ち並ぶ街並みは、まるで絵本のよう。写真映えスポットとしても人気の文化遺産です。

アミアン大聖堂(1981年登録)

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完全な形で現存する、フランスでもっとも高い大聖堂とされるアミアン大聖堂。毎年2回、「ソン・ドゥ・リュミエール」と呼ばれるライトアップショーが行われ、人気を博しています。

また、同じく世界遺産として登録されている「フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の一部にも含まれています。

ノール・パ・ド・カレーの炭田地帯(2005年登録)

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ベルギーと国境を接する、ノール地域とパ・ド・カレー地域では、かつて炭鉱業が盛んでした。

18世紀から開発された鉱山や炭鉱街が今も残っており、当時の人々の暮らしや都市計画の様子を残す文化遺産として評価されました。

流通に使われた運河や鉄道線路なども、世界遺産の構成要素として保存されています。

ベルギーとフランスの鐘楼群(1999年登録、2005年拡張)

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フランドル地方とワロン地方に点在する32の鐘楼。同様の鐘楼群はベルギーにも存在しており、あわせて世界遺産として登録されています。

鉄鋼業で栄えたフランス北部の特色を感じさせる文化遺産です。

オーギュスト・ペレによって再建された都市ル・アーヴル(2005年登録)

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第二次世界大戦中、ドイツとの交戦の前線となった北フランス。イギリス軍の補給基地として機能していたル・アーヴル港はドイツ軍に占領され、1944年のイギリス軍による空爆で大きな打撃を受けました。

戦後、市街の再建を任されたオーギュスト・ペレは、古典的な碁盤の目状の都市デザインを採用。一方でコンクリートやプレハブといった近代的な素材を活用して、当時としては画期的な景観を作り出しました。

モン・サン・ミッシェルとその湾(1979年登録)

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フランスで最初に登録された世界遺産。カトリックの巡礼地のひとつであり、自然環境と人為的な建築物が融合した、類稀な文化遺産として、世界的に有名です。

パリからの日帰りツアーの目的地としても人気。島を取り囲む湿地帯は、水鳥の生息地としても価値が高く、「ラムサール条約」の登録地にもなっています。

中央フランスの世界遺産

山脈や森林が広がるフランス中央部。他の文化による影響が少なく、独自の田園建築を見ることができます。

よくある大聖堂や旧市街には飽きてしまった、という人にはおすすめのエリアです。

シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷(2000年登録)

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ロワール川が流れるシュリー地域・シャロンヌ地域一帯。豊かな自然をのぞみ、広大な土地を活かした古城が点在しています。

フレンチ・ルネッサンス様式のシャンボール城は、白い外壁が印象的な「これぞフランス」といったデザイン。渓谷の景観を楽しみながらの川下りも人気です。

ブールジュ大聖堂(1992年登録)

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「ロワール川以南で唯一のゴシック建築」とされるブールジュ大聖堂。ゴシック様式にフレンチ・ルネサンス様式を融合させた特徴的な外観は、他の大聖堂とは一味違う独自の趣を持っています。

世界遺産「フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の一部としても登録されています。

ピュイ山脈とリマーニュ断層の地殻変動地域(2018年登録)

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フランス中央部〜南部にかけて、南北に走るピュイ山脈。全長は40kmにおよび、火山活動によるスコリア丘や溶岩ドームが見られます。

リマーニュ断層とあわせ、大規模な地殻変動のプロセスが観察できる自然遺産として登録されました。

最高峰のピュイ・ド・ドームへは、クレルモン・フェランからアクセス可能。標高1465mの頂上から、周囲の火口群を一望できます。

フランス西部の世界遺産

温暖な気候で、ワインの産地ボルドーなどを擁する西フランス。ローマ帝国時代の遺跡が多く残るエリアでもあります。

月の港ボルドー(2007年登録)

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植民地貿易で発展した港町・ボルドーの旧市街は、新古典主義の都市計画を見ることができるという理由から、文化遺産として登録されました。

「月の港」の名称は、この旧市街が、三日月形を描きながら流れるガロンヌ川の孤に沿って建設されたことに由来しています。

歴史地区の中央に位置するブルス広場は、街のシンボル的な存在。目の前を流れるガロンヌ川の水面に左右対称の新古典主義建築が映る様子は壮観です。

サン・サヴァン・シュル・ガルタンプの修道院教会(1983年登録、2007年拡張)

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ロマネスク期の壁画36点が良好な状態で残されていることが理由となり、世界遺産に。教会の腐敗やカトリックとプロテスタントによる抗争、フランス革命など、様々な要因で荒廃を極めた歴史を持ちます。

中世ならではの平面的なスタイルが特徴的な天井のフレスコ画には、「出エジプト」や「ノアの箱舟」、「イナゴの害」など、キリスト生誕以前のドラマチックな場面が描かれています。

フランス南部の世界遺産

地中海に近く、イタリアやスペイン、イスラム帝国などと所縁の深い南仏エリア。全仏でも世界遺産の登録数が多い地域です。

サン・テミリオン地域(1999年登録)

ボルドーワインの生産地として有名なサン・テミリオン地域。ブルゴーニュやシャンパーニュと同様、ワインの名産地としての文化的価値や、ブドウ畑をはじめとする特徴的な景観・建築物が評価されました。

サン・テミリオンは「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の中にも含まれており、石造りの中世的な町並みを今も見ることができます。

アルビの司教都市(2010年登録)

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アルビジョワ十字軍の拠点となった宗教都市・アルビ。赤いレンガづくりの南国的な建築物に特徴があり、中世にタイムスリップしたような雰囲気を味わうことができます。

司教の邸宅であったベルビ宮殿は、現在は地元出身の画家・ロートレックの美術館となっています。旧市街では、ルネサンス様式ならではの木骨造の民家も見ることができ、絶好のフォトスポットです。

歴史的城塞都市カルカソンヌ(1997年登録)

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地理的に重要な位置にあるカルカソンヌは、紀元前から城塞都市としての長い歴史を持ちます。ローマ帝国、イスラム帝国、スペイン、フランスの各国が領有権を争い、数々の戦争の舞台ともなりました。

現在も残る城壁都市とヴュー橋は、夜になるとライトアップされ、幻想的な光景に。コンタル城やサン=ナゼール大聖堂など、主要な建築物も非常に良好な状態で保存されている、珍しい文化遺産です。

ミディ運河(1996年登録)

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ボルドーのガロンヌ川と地中海近くのトー湖を結ぶ、240kmに及ぶ長大な運河。鉄道開発以前は、大西洋と地中海を結ぶ主要な輸送ルートでした。

1666年に着工し、1681年に完成。21mの高低差がある「フォンセランヌの7段ロック」は、通過に1時間かかるという大規模なもので、見ごたえ十分。

運河沿いにはプラタナスの並木が作られ、川下りだけでなく、散策にも楽しい文化遺産です。

ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群(1979年登録)

ヴェゼール渓谷の遺跡には、世界史の教科書でもおなじみの「ラスコー洞窟の壁画」があります。

この地域にはクロマニョン人の骨やネアンデルタール人の遺跡も残されており、先史時代の貴重な考古学的景観を見ることができます。

また、旧石器時代の地層も見られることから、地学マニアにも人気の世界遺産です。

ピレネー山脈のペルデュ山(1997年・1999年登録)

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ピレネー山脈のほぼ中央に位置する、標高3352mのペルデュ山。氷河によって形成された稜線や渓谷、高山動物・植物の生態系、人類による農耕の歴史が基準となり、フランス・スペイン両国で複合遺産に認定されました。

フランス側にはガヴァバルニー、エスタルベ、トルムーズの3つの圏谷があり、その美しい景観で登山客に人気。山の中腹では、厳しい自然の中で牧場や畑村を切り開いた人々の生活が、現在でも営まれています。

コースとセヴェンヌの地中海農牧業の文化的景観(2011年登録)

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地中海に近いコース地方とセヴェンヌ山の牧場を中心とした世界遺産。この地域はロックフォールチーズの生産地として知られ、その文化的意義が評価されました。

緑豊かな山岳部に広がる牧場と、のんびりと過ごす羊の姿は癒し効果満点。都会を離れ、ファームステイ型の旅行を楽しみたい人にもおすすめです。

ポン・デュ・ガール(1985年登録、2007年拡張)

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ポン・デュ・ガールは、地中海に面したガール県のガルドン川にかかる水道橋です。

西暦50年頃、古代ローマ帝国による建設とされ、高さは約50m。全体の重量を分散させるため、3層のアーケード構造を採用しており、優れた建築技術を感じることができます。

アヴィニョンやニームからバスで観光することが可能。夜になると橋全体がライトアップされ、その壮大さがより際立ちます。

アルルのローマ遺跡とロマネスク様式建造物群(1981年登録)

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かつてプロヴァンスの大都市として栄えたアルルには、ローマのコロッセオに似た円形闘技場が残されています。もともとは約2万人を収容できたとされる3層建ての円形闘技場で、現在はうち2層が残されています。

近くには同時期に建築された古代劇場の遺跡も保存されており、ルーヴル美術館収蔵の「アルルのヴィーナス」はこの遺跡から発掘されました。

フランスにいながらにして、ローマ旅行をしているような気分を味わうことができます。

アヴィニョン歴史地区(1995年)

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アヴィニョンには、14世紀、ローマ教皇がバビロン捕囚時代に住んでいた宮殿が残されています。重厚な防壁に囲まれた宮殿は、フランス国内のゴシック様式建築の中では最大級。

併設のプチ・パレは現在、美術館として公開されており、ボッティチェリの『聖母子』をはじめとする名画が収蔵されています。

オランジュのローマ劇場とその周辺及び「凱旋門」(1981年登録、2007年拡張)

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紀元前1世紀頃、この地域を植民支配していたローマ帝国によって建設された劇場。ローマ文化を広め、庶民の政治への関心を薄れさせる目的で、数々のエンターテインメントが提供されていました。

現在残るローマ風劇場跡の中でも保存状態が良いことから、今も野外劇場として活用されており、オペラフェスティバル「オランジュ音楽祭」の会場としても知られています。

近隣に立つ凱旋門は、カエサルがプロヴァンスにおける戦いに勝利したことを記念して建てられたモニュメント。ローマ帝国の威光を感じさせる遺跡群です。

ピアナのカランケ、ジロラータ湾、スカンドーラ自然保護区を含むポルト湾(1983年登録)

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ナポレオンの流刑地として有名なコルシカ島の西部にあるポルト湾。火山活動によって作り出された奇岩群が並ぶ入江は、まるでファンタジー映画のような景観の美しさを誇ります。

フランス初の自然遺産である湾の一部は、現在も自然保護区となっており、本土から観光船でのみアクセスが可能です。

リヨン歴史地区(1998年登録)

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南仏の中心都市として長い歴史を持つリヨン。紀元前1世紀にはローマ帝国の植民地として栄え、14世紀にフランスに併合されてからは、南仏における貿易と産業の要衝となりました。

金融業や印刷業で栄え、フレンチ・ルネサンス発祥の地となったことでも知られています。

旧市街には今でもルネサンス様式の建築物やカラフルな民家が立ち並び、観光客の目を楽しませてくれます。

ショーヴェ・ポン・ダルク洞窟とも呼ばれるアルデシュ県ポン・ダルクの装飾洞窟(2014年登録)

現在までに発見されている洞窟壁画の中では最古とされる、ショーヴェ洞窟壁画。保存の観点から、残念ながら一般公開はされていません。

壁画には200以上の動物が描かれており、中には現在絶滅した動物の姿も含まれています。3万年以上前の物とは思えないほど写実的なタッチの壁画は、まさに驚きの一言です。

フランス全土に点在する世界遺産

フランスの世界遺産には、地域をまたいで点在するものも少なくありません。中には、複数の国境をまたいで、ヨーロッパ各地の世界遺産と関係している遺跡も。

世界史の繋がりを感じさせる、ロマンに溢れた文化遺産をご紹介します。

フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路(1998年登録)

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ローマ・エルサレムと並び、キリスト教の三大巡礼地とされる、スペインの「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」へ向かう巡礼路。フランス国内には、「トゥールの道」、「リモージュの道」、「ル・ピュイの道」、「トゥールーズの道」が通っています。

10世紀に端を発するこの巡礼路は、現在でも年間約10万人の巡礼者達の通り道となっており、道沿いに建てられたロマネスク様式の教会や聖堂も、世界遺産の構成要素です。

ヴォーバンの防衛施設群(2008年登録)

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ルイ14世に仕えたヴォーバンは、築城・攻城の名手として知られ、国境周辺を中心として300以上の要塞の建設・修復に関わりました。

全仏各地に散らばる12箇所の要塞跡が、建築・景観的な面から評価され、文化遺産に指定されています。

各地の地理的条件を活かした要塞の中には、防衛施設とは思えないほど美しいデザインのものも。それまでの築城メソッドを体系化したヴォーバンの功績を偲ばせる遺跡です。

ル・コルビュジエの建築作品(2016年登録)

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近代建築家の大家・コルビュジェの建築作品は、20世紀の近代建築運動に多大な功績をしたとして、2016年に世界遺産指定を受けました。

フランスの他、ドイツやアルゼンチンなど7ヵ国に点在し、大陸をまたぐ初めての世界遺産としても話題に。日本の国立西洋美術館も、作品のひとつです。

フランス国内では、サヴォア邸をはじめとする10箇所が登録されています。

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