パリの美術館・博物館おすすめ36選!アート・建築・文化・科学などジャンルごとに紹介

パリといえば「芸術の都」。数多くある美術館や博物館は、毎年多くの観光客を引きつけています。

今回は、ルーヴルやオルセーといったフランスを代表する美術館から、知る人ぞ知るマニアックな博物館まで、36のおすすめスポットをまとめてご紹介します。

古代からの歴史を辿る、正統派の美術館・博物館

ルーヴル美術館

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フランスを代表する美術館といえば、ルーヴル美術館。もともとはフィリップ2世時代の城塞だったルーヴル城を、シャルル5世、フランソワ1世、アンリ2世、カトリーヌ・ド・メディシス、アンリ4世、ルイ13世、ルイ14世など、歴代の王が増改築していきました。

1793年に美術館として開館し、ナポレオン時代には国外の名画や財宝を次々と獲得・収容していきます。戦後、収容品の多くは元の所有者に返却されましたが、今でも380,000点を超えるコレクションを誇り、世界最大規模の美術館のひとつです。

1 Musée du Louvre
Palais Royal, Musée du Louvre,
75001 Paris, France
TEL:01 40 20 53 17 www.louvre.fr
開館時間:9:00-18:00(水・金曜日は21:45まで)
休館日:火曜日
入場料:15ユーロ

カルナヴァレ博物館

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先史時代から現代に至るパリの歴史を見ることができる、カルナヴァレ博物館。16世紀に建造されたルネサンス様式の邸宅を、19世紀にパリ市が購入。

様々な時代の絵画、彫刻、家具、文書、ポスターなどが展示されており、パリの歴史を体系的に知りたい人にはおすすめの博物館です。

Musée Carnavalet
23, rue de Sévigné, 75003 Paris
TEL:01 44 59 58 58
www.carnavalet.paris.fr
開館時間:10:00-18:00
休館日:月休
入場料:無料〜(任意の寄付制)

クリュニー中世美術館

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学生街として有名なカルチェラタンの一角に建つ、すらりとした佇まいが美しい美術館。古代ローマ時代の浴場跡に建造された、14世紀の修道院の建物を活用しています。

古代から16世紀までの収蔵品2万3000点を誇り、中世文化に興味のある人にとっては垂涎のコレクションを展示。

絵画や工芸品をはじめ、フランス革命によって破壊されたノートルダム大聖堂の彫刻や、壮麗なステンドグラスのコレクションも注目ポイント。

もっとも有名な収蔵品は、日本の教科書にも登場するタピスリー「貴婦人と一角獣」。世界中のファンが一目見ようと集まります。

Musée de Cluny
6, place Paul Painlevé 75005 Paris
TEL:01 53 73 78 00
www.musee-moyenage.fr
開館時間:9:15-17:45
休館日:火曜日
入場料:8ユーロ

カタコンブ・ド・パリ

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カタコンブは、ダンフェール・ロシュロー駅近くの地下に存在する、市営の納骨場。パリ市街部の墓地がいっぱいになり、衛生上の問題が生じたことをきっかけに、1786年から採石場跡の空洞を納骨場として利用する計画が進められました。

開発の途中からは、遺骨を壁に配置するなど、人々の見学を視野に入れた計画方針に変更。当初は貴族階級に向けて限定的に公開されていましたが、現在では世界各国からの旅行客が訪問する観光スポットになっています。

Catacombes de Paris
1 av du Colonel Henri Rol-Tanguy 75014 Paris
M:Denfert-Rochereau4 RER B線
TEL:01 43 22 47 63
www.catacombes.paris.fr
開館時間:10:00-20:30
休館日:月曜日
入場料:12ユーロ

パリ下水道博物館

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パリ7区、セーヌ川沿いにある下水道博物館では、パリの下水道の発展について学ぶことができます。

かつて、パリの人々はセーヌ川の水を生活用水としていましたが、下水も川へ流していたため、疫病が流行するなど、衛生面の危険が課題でした。

1370年、モンマルトルで最初の下水道の開発が始まり、ルイ14世やナポレオン1世、オスマン男爵による開発を経て、1825年に完成しました。

博物館では、実際の下水道を歩くことができるほか、整備に使用された道具や機械などが展示されています。

Musée des Egouts
face au 93 quai d'Orasy 75007
TEL:01 53 68 27 81
https://en.parisinfo.com/paris-museum-monument/71499/Musee-des-egouts-de-Paris
開館時間:11:00-17:00 (5/1〜9/30)、11:00-16:00 (10/1〜
4/30)
休館日:木曜・金曜
入場料:4.40ユーロ

近代フランスの名残に触れる美術館&博物館

「過去を振り返り20世紀を展望する」というテーマのもと開催された、1900年のパリ万国博覧会。万博のために建設された会場や施設の一部は、現在、美術館や博物館として公開されています。

ベル・エポック時代をほうふつとさせる、優美なアール・ヌーヴォー様式の建築を含む、フランスらしさ溢れる施設を楽しんでみましょう。

オルセー美術館

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1900年の万博にあわせてオルレアン鉄道が建設した「オルセー駅」。その駅舎兼ホテルを活用しているのが、現在のオルセー美術館です。

イタリア人建築家のガエ・アウレンティが改修を担当し、1986年に美術館として開館しました。

1848年から1914年までの美術作品を収蔵・展示することを方針とし、印象派やアール・ポンピエ時代の作品が豊富です。

ドラクロワやミレー、マネ、モネ、ゴッホ、セザンヌなど、日本人にもファンの多い大家の名画が一堂に会する様子は、圧巻の一言です。

Musée d'Orsay
62 rue de Lille 75343 Paris cedex 07
M:Solférino12、Musée d'Orsay RER C線
TEL:01 40 49 48 14
www.musee-orsay.fr
開館時間:9:30-18:00(木曜は21:45まで)
休館日:月曜
入場料:12ユーロ

グラン・パレ

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こちらもパリ万博に際して建設された、シャンゼリゼ通りからアンヴァリッド広場までを繋ぐ大規模な展示ホール。鉄製の梁とガラスでできたボザール様式のファサードは、当時のフランスの技術力と芸術性を世界に発信するためのアイコンでした。

円形のドームが象徴的な正面玄関には、アールヌーボー様式の彫刻がほどこされ、優美な印象。現在でも、シャネルなどの一流メゾンのコレクションや、世界的な展示会が開催されています。

Grand Palais
3 Avenue du Général Eisenhower, 75008 Paris, France
M:Franklin D. Roosevelt19、
Champs-Élysées-Clémenceau113
TEL:01 44 13 17 17
https://www.grandpalais.fr/fr
開館時間:10:00-20:00(水曜は22:00まで))
休館日:火曜
入場料:展示内容によって異なる

プティ・パレ

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グラン・パレの向かいに建つプティ・パレは、パリ万博でフランス国内美術の展示に使用された建物です。グラン・パレやアレクサンドル三世橋と同時期に建設され、現在ではパリ市立の美術館として運営されています。

17世紀から20世紀に活動したフランスの作家による美術品をコレクションに持つ同美術館では、明るい光の差す瀟洒な建物の中を歩きながら、年代ごとにフランス美術の変遷を追うことができます。

マティスの「ダンス」やクレランの「サラ・ベルナールの肖像」など、近代フランスの巨匠による作品が常設されているほか、普段は倉庫に保管されている名画が登場する企画展も見どころです。

Petit Palais
Avenue Winston Churchill, 75008 Paris, France
M : Champs-Elysées-Clémenceau113
TEL:01 53 43 40 00
www.petitpalais.paris.fr
開館時間:10:00-18:00(企画展のみ、金曜は21:00まで)
休館日:月曜
入場料:常設展は無料、企画展は内容により異なる

移民史博物館

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パリの移民史博物館の建物は、1931年の国際植民地博覧会開催に際し、植民地博物館として造られました。

ケ・ブランリ美術館(P18)ができるまでは、アフリカ・オセアニア地域に関する展示が見られる博物館として親しまれてきましたが、2007年、移民にまつわる歴史と文化を展示する移民史博物館として再開館。

ヨーロッパの移民大国であるフランスにとって欠かせない、世界各国の移民の歴史を体系的に知ることができる、社会的意義の大きな博物館です。

Musée de l'histoire de
l'immigration
293 av Daumesnil 75012 Paris
M:Porte Dorée8
www.histoire-immigration.fr
10:00-17:30(土日19:00まで) 月休
入場料:6€(企画展がない期間は4.50€)

パレ・ド・トーキョー/現代美術センター

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パリ16区、戦前までは「トーキョー通り」と呼ばれていたエリアにある、コンテンポラリーアートを中心とする美術館です。

建物は1937年のパリ万国博覧会にあわせて建設され、20世紀までのフランス美術の展示会場として使用されました。第二次世界大戦中の1942年、西翼に「国立近代美術館」が開館。戦中はユダヤ人から没収した資産を保管するなど、フランスの闇の歴史も抱える美術館です。

戦後の1961年に東翼が「パリ市立近代美術館」としてオープン。1977年に「国立近代美術館」が移転してから空きスペースとなっていた西翼へは、2002年に「現代美術センター」が設立され、現在の「パレ・ド・トーキョー/現代美術センター」の姿が完成しました。

現代的なコンクリートの壁面と、神殿を思わせる柱のコントラストがユニークな、ヨーロッパでも有数の訪問者数を誇る現代美術館です。

Palais de Tokyo
13 Avenue du Président Wilson, 75116 Paris, France
M:Iéna9
TEL:01 81 97 35 88
www.palaisdetokyo.com
開館時間:12:00-24:00
休館日:火曜
入場料:10ユーロ

お気に入りのアーティストが住んだ場所を訪ねよう

数多くの芸術家たちが生活したパリ。その自宅やアトリエのいくつかは、今でも美術館として一般に開放されています。

お気に入りのアーティストの作品が一堂に会するギャラリーは、マニアにはたまらない空間。

画家たちが実際に見た景色に思いを馳せながら、壁や柱の味わいを楽しむのも一興です。

ヴィクトル・ユゴー記念館

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「レ・ミゼラブル」などの名著を残した大作家・ユゴーが実際に住んでいたアパルトマンが、1902年に記念館としてオープン。

30歳で家族とともにこのアパルトマンに引っ越したユゴーは、妻の不倫、自身の浮気、長女の事故死など、数多の辛酸を舐めることになりました。

失意の中、政治活動に没頭していったユゴーは、ナポレオン3世の第2帝政に反対し、1851年のクーデターを機に亡命生活を送ることにります。

ヴィクトル・ユゴー記念館では、作家の人生を、亡命前・亡命中・フランス帰国後という三部構成で展示。家具や骨董品のほか、亡命中の家の内装を再現した中国風のサロンルームは必見です。

La Maison de Victor Hugo
6 Place des Vosges, 75004 Paris, France
TEL:01 42 72 10 16
www.maisonsvictorhugo.paris.fr
開館時間:10:00-18:00
休館日:月祝
入場料:無料(企画展5~7€)

ギュスターヴ・モロー美術館

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代表作「《出現》とサロメ」など、神話や聖書の世界をテーマに、幻想的かつ精神的な絵画を残したモロー。

芸術家として、後進へのレガシーを残したいと考えた晩年のモローは、自宅を美術館とする構想を練り、余命を費やして美術館に展示する作品を制作しました。

落ち着いた内装の館内には、随所にモローの作品が展示され、アトリエを再現した部屋も設けられています。

3階と4階を繋ぐ芸術的な螺旋階段は、それ自体が美術品のよう。モローの神秘的な世界観に浸ることのできる、小さな宝石のような美術館です。

Musée Gustave Moreau
14 Rue de la Rochefoucauld, 75009 Paris, France
M:Trinité12
TEL:01 48 74 38 50
www.musee-moreau.fr
開館時間:月曜〜木曜10:00-12:45/14:00-17:15、金曜〜日曜10:00-17:15
休館日:火曜
入場料:6ユーロ

ロマン派美術館

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ロマン派美術館が設立されたのは、オランダ出身の画家アリ・シェフェールが、1930年に亡くなるまで実際に住んでいた邸宅。

シェフェールのサロンには、ドラクロワやジョルジュ・サンド、ショパンなど、19世紀を代表する各芸術分野のアーティストが集まっていました。

美術館では、王家の肖像画家として活躍したシェフェール自身の作品のほか、ジョルジュ・サンドが身に付けた宝石や、サンドの腕の石膏などを展示しています。

Musée de La Vie Romantique
16, Rue Chaptal 75009 Paris
M:Saint-Georges12
TEL:01 55 31 95 67
museevieromantique.paris.fr
開館時間:10:00-18:00
休館日:月曜・祝日
入場料:無料

バルザックの家

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借金取りに追われ、頻繁に引越しをしていたバルザック。偽名を使って借りていた複数の家のうち、唯一パリに残っている家屋が、現在は記念館として公開されています。

この家に住んだ1840年から1047年の間に、バルザックは晩年の大作となった「人間喜劇」を執筆しました。

記念館では、作家が実際に使っていた机や愛用のステッキなどが展示されています。ロダンによるバルザック像や、様々な画家の手による肖像画など、ファンにはたまらない作品が一堂に会します。

Maison de Balzac
47 rue Raynouard 75016 Paris
M:Passy6、La Muette9
TEL:01 55 74 41 80
maisondebalzac.paris.fr
開館時間:10:00-18:00
休館日:月祝
入場料:無料(企画展がある場合は有料)

ブールデル美術館

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日本の国立西洋美術館前にある「弓を引く人」の作家としても知られる、20世紀の彫刻家ブールデル。ロダンの弟子であったブールデルは、32歳で独立後、パリ16区にアトリエ兼住居を構えました。

死後、家族が彼のアトリエを美術館として一般開放。大掛かりな改修をせず、まるで創作途中かのように様々な作品が配置されています。

ブールデルがインスピレーションの源としていた作曲家・ベートーベンの彫刻も多く展示され、音楽ファンからも愛される美術館です。

Musée Bourdelle
18 rue Antoine Bourdelle75015 Paris
M:Montparnasse – Bienvenüe461213
TEL:01 49 54 73 73
www.bourdelle.paris.fr
開館時間:10:00-18:00
休館日:月曜・祝日
入場料:無料(企画展は有料)

ザッキン美術館

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1930年代のモンパルナスには、各国の芸術家たちが集まっていました。ロシア生まれの彫刻家オシップ・ザッキンも、そのひとり。

「ラ・ルーシュ」(蜂の巣)と呼ばれた共同アトリエで、前衛芸術運動の旗手となった多くの外国人アーティストたちと交友を深め、その中には藤田嗣治やモディリアーニも含まれていました。

第一次世界大戦に従軍して負傷したのち、1928年に現在ザッキン美術館となっているアトリエに居を移します。

緑に囲まれたこぢんまりとした美術館では、古きよき時代のモンパルナスに思いを馳せながら、石や木の自然な目地を生かして作った人物像や、庭に溶け込むように配置されたブロンズ像などを楽しむことができます。

Musée Zadkine
100 bis rue d'Assas 75006 Paris
M:Notre-Dame des Champs112、Vavin4
TEL:01 55 42 77 20
www.zadkine.paris.fr
開館時間:10:00-18:00
休館日:月曜・祝日
入場料:無料(企画展は有料)

ウジェーヌ・ドラクロワ美術館

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ロマン主義の巨匠・ドラクロワが人生の最期を過ごしたアトリエ兼自宅が、サン・ジェルマン・デ・プレに残っています。

サン・シュルピス教会のチャペルの絵画を手掛けていた晩年のドラクロワが、教会へ通いやすいようにと居を移したのが、このアパルトマンでした。ドラクロワは新しいアトリエをたいそう気に入り、「私のアパルトマンは本当に魅力的である」と手記に残しています。

中心街の喧騒が嘘のように静かな館内では、ドラクロワの手による絵画やパレット、直筆の手紙などが展示されています。ドラクロワが永眠した部屋も残されており、画家の生活を追体験できるような美術館です。

Musée National Eugène Delacroix
6 rue de Furstenberg 75006 Paris
M:Saint-Germain-des-Prés4、Mabillon10
TEL:01 44 41 86 50
www.musee-delacroix.fr
開館時間:9:30-17:30
休館日:火曜
入場料:7ユーロ(ルーヴル美術館の入場券があれば無料)

ロダン美術館

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彫刻界の世界的な巨匠・ロダンの美術館は、セーヌ左岸の7区にあります。建物は18世紀に「オテル・ビロン」として造られ、様々な所有者を経て、一時期はアーティストのアトリエとして貸し出されていました。

ロダンはここで、アンリ・マティスやジャン・コクトーらと交友しながら、創作を行っています。その後、建物を買い取ったフランス政府に対し、ロダンはこの邸宅を自身の美術館とすることを提案。全コレクションを寄贈するという条件のもと、合意が成立し、1919年にロダン美術館がオープンしました。

まるで小さな宮殿のように広々とした本館を始め、企画展の会場となっているチャペルや、広大な庭園も見応えがあります。

邸宅へ繋がるパッサージュには、ロダンの代表作である「考える人」が設置されているほか、「カレーの市民」「地獄の門」などの有名作品をそこここで見つけることができます。

Musée Rodin
77 Rue de Varenne, 75007 Paris, France
M:Varenne13
TEL:01 44 18 61 10
www.musee-rodin.fr
開館時間:10:00-17:45
休館日:月曜
入場料:10ユーロ

パリ国立ピカソ美術館

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パリ3区にある、ピカソの作品を集めた美術館。ピカソの遺族が相続税を物納したことに端を発し、美術館の創立が計画されました。

建物は、「塩の館」とも称される、1659年築の豪邸。かつて塩税徴収人が住んでいたことから、この名前が付けられました。

「自画像」「アビニヨンの娘たち」「牧神パンの笛」「泣く女」「接吻」といったピカソ名作に加え、ピカソがコレクションしていたセザンヌやドガなどによる作品も収蔵。コレクションの数は5000点以上にのぼり、ひとりの芸術家の名前がついた美術館としては屈指の規模を誇ります。

Musée Picasso Paris
5 rue de Thorigny 75003 Paris
M:Saint-Paul1、Chemin Vert8
TEL:01 85 56 00 36
www.museepicassoparis.fr
開館時間:9:30-18:00
休館日:月曜
入場料:12.50ユーロ

建築ファンなら見逃せない博物館

パリの街を歩いていると、様々な建築スタイルの建物が混在していることに気づきます。

ロマネスク・ビザンチン様式の教会堂、ゴシック様式の寺院、アール・ヌーヴォー様式のアパルトマンなど、街角の何気ない景色にも優れた美的感覚がひそんでいるのは、さすがの一言。

ここでは、パリの建築についてより深く知りたい人におすすめの博物館をご紹介します。

建築・文化財博物館

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セーヌ川を挟んでエッフェル塔の正面にある、シャイヨー宮。

パリの建築・文化博物館には、フランス国内にある12世紀から21世紀までの建築物の複製が展示されています。1階には、12世紀から18世紀にかけての建築物の模型を収蔵。その数は400点以上にのぼります。

中でも人気なのは、ランスのノートルダム大聖堂にある彫刻「笑顔の天使」のレプリカ。モワサックサン・ピエール修道院の正面入り口を再現した模型は、屋内で見ると実際以上に大きく感じられ、圧倒されるほどです。

2階は2007年にオープンした近代建築部門で、1850年から現在までの建築物が特集されています。ル・コルビュジェによるマルセイユの共同住宅や、レゾン・ピアノとリチャード・ロジャースの設計によるポンピドゥー・センターの模型などが見どころ。一箇所でフランス全土を旅した気分になれる空間です。

Cité de l'architecture et du patrimoine
Palais de Chaillot 1 pl du Trocadéro 75116 Paris M:Trocadéro69
TEL:01 58 51 52 00
www.citechaillot.fr
開館時間:11:00-19:00(木曜は21:00まで)
休館日:月曜・火曜
入場料:8ユーロ

アルスナル建築博物館

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パリの都市開発の歴史を展示する博物館。過去のプロジェクトだけでなく、現在進行中の都市開発の状況や、未来のプロジェクトまでを知ることができます。

写真や映像をまじえて過去の歴史を紹介する常設展のほか、企画展も定期的に開催。市民や民間企業とコラボレーションしたイベントや、フランス国外の建築家をゲストに迎えた講演会など、フォーラム開催の場としても活用されています。

Pavillon de l'Arsenal
21 bd Morland 75004 Paris
M:Bastille158、Sully-Morland7
TEL:01 42 76 33 97
www.pavillon-arsenal.com
開館時間:10:30-18:30(日11:00-19:00)
休館日:月休
入場料:無料

ラ・ロッシュ邸

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パリ16区に建つ、ル・コルビュジェの初期作品。スイス人の銀行家ラ・ロッシュのために設計され、1925年に竣工しました。

白い壁面が印象的な建物の中に入ると、広い吹き抜けが明るく開放的な空間を作り出しています。

美術収集家でもあったラ・ロッシュのコレクションが展示されたギャラリースペースでは、一流の建築と美術品の融合を楽しむことができます。

La Maison La Roche
10 Square du Docteur Blanche 16e Paris
M:Jasmin9 TEL:01 42 88 41 53
www.fondationlecorbusier.fr
開館時間:10:00-18:00(月曜は13:30開館)
休館日:日曜・祝日
入場料:8ユーロ

ジャックマール・アンドレ美術館

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19世紀のブルジョワ、エドゥアール・アンドレとネリー・ジャックマール夫妻が住んでいた邸宅に、夫妻の個人コレクションを展示した美術館。

アンドレは銀行家の後継者として生まれ、自宅に飾る肖像画をジャックマールに依頼。2人は後に結婚し、生涯をとおして約5000点もの美術品を収集しました。

個人のコレクションとしては最大規模とされる所蔵品は、フランスやイタリア、イギリス、オランダの絵画が中心。豪奢なタペストリーと天井画で飾られたダイニングルームや、ルイ14世が使用した家具など、建物や調度品にも見応えがあります。

Musée Jacquemart-André
158 Boulevard Haussmann 75008 Paris
TEL:01 45 62 11 59
www.musee-jacquemart-andre.com
開館時間:10:00-18:00(企画展がある期間の月曜は20:30まで開館)
入場料:12ユーロ

狩猟自然博物館

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マレ地区に近い7区に位置する、狩猟道具や狩りをテーマにした絵画、動物の剥製などを集めた博物館です。

その歴史は、狩猟の愛好家だったフランソワ・ソメールが、自身の剥製コレクションを一般公開したことに始まります。次第に寄付や他の美術館からの委託品が集まり、収蔵品が増大。

2005年から、隣に建っていたモンジュラス館を買収し、スペースを拡大しました。

館内の各部屋には「猪の間」「鹿と狼の間」「犬の間」「鳥の間」など、動物の名前を冠しており、ネーミング通りの動物の剥製が飾られています。

また、「剥製の間」では、ヒョウや白熊といった大型動物の実寸大の剥製も見ることができます。コンテンポラリーアートの企画展も頻繁に開催されており、剥製と現代美術の不思議なコラボレーションを楽しめる、ユニークな美術館でもあります。

Musée de la Chasse et de la Nature
62 rue des Archives 75003 Paris M:Hôtel de Ville111、Rambuteau11
TEL: 01 53 01 92 40
www.chassenature.org
開館時間:11:00-18:00(水曜は21:30まで)
休館日:月曜
入場料:8ユーロ

コニャック・ジェ美術館

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パリの百貨店「サマリテーヌ」の創業者、エルネスト・コニャックとマリー=ルイーズ・ジェ夫人が収集したコレクションを展示する美術館。

もともとはサマリテーヌの隣にありましたが、デパートの閉店に伴い、美術館も一時閉館。1990年、マレ地区の「ドノン館」と呼ばれる邸宅に移転・再オープンしました。

パリの富裕層の生活を感じさせる優雅な館内では、18世紀の絵画や宝飾品、工芸品や家具などを展示しており、過去にタイムスリップしたような感覚を味わうことができます。

Musée Cognacq-Jay
8 rue Elzévir 75003 Paris M:Saint-Paul1、Chemin Vert8
TEL:01 40 27 07 21
museecognacqjay.paris.fr
開館時間:10:00-18:00
休館日:月休
入場料:無料(企画展は有料)

自然やサイエンスに触れたい人におすすめの博物館

芸術のイメージが強いフランスですが、多くの優れた科学者や研究者を輩出した国でもあります。

ここでは、自然科学や人文科学、物理や化学などに興味のある方が楽しめる博物館をご紹介しましょう。

国立自然史博物館

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ルイ13世時代に王室の薬用植物園として設立され、現在は自然史系の博物館として国内外の貴重な資料を収蔵する博物館。

敷地内には「進化大陳列館」、「比較解剖学・古生物学陳列館」、「鉱物学・地質学陳列館」の3館があり、1日では回りきれないほどのボリュームです。

「進化大陳列館」の吹き抜けを利用した、アフリカの動物群の剥製展示は圧巻。すぐ近くに立って、自分の身長と比べてみることもできます。海の生物の進化に関する展示もあり、海洋ファンにも嬉しい博物館です。

「比較解剖学・古生物学陳列館」には様々な脊椎動物の骨格標本が展示され、それぞれの動物が得意とする動きを、骨の構造から比較するという、一風変わったアプローチを採用しています。

「鉱物学・地質学陳列館」の目玉は、4トンもある巨大水晶。様々な地層の見本やルイ14世が所有していた宝石なども陳列され、マニアにはたまらない空間です。

Muséum national d'histoire naturelle
進化大陳列館
36 rue Geoffroy Saint-Hilaire 75005 Paris M:Jussieu710
TEL: 01 40 79 56 01 / 01 40 79 54 79
www.mnhn.fr
開館時間:10:00-18:00
休館日:火休
入場料:9€

国立工芸・技術博物館

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18世紀、産業革命の流れに乗り遅れまいと、フランス政府は優れた科学者や技術者の養成を目指しました。

1798年に技術エリートの養成学校である「エコール・ポリテクニーク」を設立し、国を挙げて科学技術や工業分野の研究開発を進めます。

ポンピドーセンター近くにある「国立工芸・技術博物館」は、フランスにおける産業革命の推移をうかがえる場所。展示は「科学実験用具」「材料・資材」「土木建築」「通信」「エネルギー」「機械化」「交通・運送」の7分野に区分され、それぞれの歴史を時系列で追うことができます。

計算機や時計、自動車といった、こんにちの生活に定着した発明に関する展示や、地球の自転を証明したことで知られる「フーコーの振り子」などが見どころです。

Musée des arts et métiers
60 rue Réaumur 75003 Paris
M:Arts et Métiers311
TEL:01 53 01 82 00
www.arts-et-metiers.net
開館時間:10:00-18:00(木曜は21:30まで)
休館日:月曜
入場料:8ユーロ

人類博物館

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1937年のパリ万博に際し、民族学者のポール・リヴェが設立した博物館です。博物館は研究所である、というリヴェの発想のもと、人類史に関する資料を一堂に集め、「人類」を定義することを趣旨としています。

広大な館内では、ホモ・エレクトスからホモ・サピエンスまでの進化の過程を解説する展示や、他の動物と比較した時の人間の独自性を証明する展示など、「人類」という存在に対する思考を深めるための資料が豊富に公開されています。

Musée de l’Homme
17 pl du Trocadéro et du 11 Novembre 75116 Paris
M:Trocadéro69
TEL:01 44 05 72 72
www.museedelhomme.fr
開館時間:10:00-18:00(水曜21:00まで)
休館日:火曜
入場料:10ユーロ

フランス以外の文化に触れるなら

ヨーロッパ諸国の中でも移民の数が多いフランス。人種のるつぼであるパリには、フランス以外の国や民族に関する美術館・博物館が複数存在しています。

フランスにいながらにして、様々な地域の文化に関する広汎な知識を得られるこれらの施設は、世界への理解を深めるための格好のリソースです。

アラブ世界研究所

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アラブ世界とフランスおよびヨーロッパ諸国の交流促進を目的として、1987年に開館した研究所。文化的なプロジェクトや、国際交流イベント、企画展などの会場として用いられています。

ジャン・ヌーヴェルがデザインした建物は、アラブ建築ならではの幾何学模様と西洋風の素材が融合し、文化の架け橋としての研究所を体現しています。

歴史的な展示にとどまらず、アラブ世界の現在をうかがわせる写真展や、コンテンポラリーアートの展示なども頻繁に行われています。

Institut du Monde Arabe
1 rue des Fossés Saint-Bernard pl
Mohammed-V 75005 Paris M:Jussieu710
TEL:01 40 51 38 38
www.imarabe.org
開館時間:10:00-18:00(土日・祝日は19:00まで)
休館日:月曜
入場料:8ユーロ

ギメ東洋美術館

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リヨン生まれの実業家、エミール・ギメが1879年に設立した「ギメ宗教博物館」を前身とし、1928年から国立美術館として開館。ギメ個人のコレクションをベースに、東洋の絵画や彫刻、装飾品などを展示しています。

戦後の1945年にはルーヴル美術館の東洋美術部門としての機能を与えられ、ヨーロッパ最大級のアジア美術館になりました。

特に、ギメが日本で大量に買い付けた仏像や、インドと中国美術の部門が充実。別館には日本庭園と茶室も設けられています。

Musée national des arts asiatiques – Guimet
6 pl d'Iéna 75116 Paris M:Iéna9
TEL:01 56 52 54 33
www.guimet.fr
開館時間:10:00-18:00
休館日:火曜
入場料:7.50ユーロ

ケ・ブランリ美術館

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2006年に開館した比較的新しい美術館で、アフリカ、アジア、オセアニア、アメリカ大陸の文明文化に関する展示を行っています。

シラク政権下の文化事業として進められ、2万平方メートルの広大な敷地には、美術館のほかに劇場やメディア棟などがあり、およそ30万点もの収蔵品数を誇ります。

館内の展示スペースには壁がなく、広々とした空間に、各国から収集した美術品や民芸品、衣装、装飾品などが並ぶユニークなつくり。

また、特定の文明やアーティストにフォーカスした企画や、国境を越えたテーマに基づく企画など、様々な特別展示も定期的に開催されます。

Musée du quai Branly
37 quai Branly 75007 Paris
M:Iéna9、Bir Hakeim6
TEL:01 56 61 70 00
www.quaibranly.fr
開館時間:11:00-19:00(木・金・土曜は21:00まで)
休館日:月曜
入場料:9ユーロ

ユダヤ歴史美術館

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昔からユダヤ人が多く住むマレ地区にある、ユダヤの歴史をテーマとする美術館。地理的には主にヨーロッパ諸国やマグレブ諸国、時間的には古代から現代までをカバーし、ユダヤ人の歴史や文化、生活に関する展示を行っています。

この美術館では、ナチス占領下のパリで強奪され、戦後返却されたユダヤ教会の祭具や、東欧のシナゴーグの模型、ユダヤ人アーティストによる絵画や工芸品など、世界でもトップレベルといえる豊富なコレクションを見ることができます。

正面入り口前には「ドレフュス事件」で知られるアルフレド・ドレフュス大尉の彫像が置かれ、美術館を訪れる人を迎えています。

Musée d'art et d'histoire du judaïsme
71 rue du Temple 75003 Paris
M:Rambuteau11、Hôtel de Ville111
TEL:01 53 01 86 60
www.mahj.org
開館時間:11:00-18:00(日10:00~)
休館日:土曜
入場料:8ユーロ

ショア記念館

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第2次世界大戦中、ナチス占領下のフランスで行われたユダヤ人大虐殺の記念館として、2005年に設立されました。

「ショア」とはヘブライ語で「災厄」「破壊」を意味する単語で、フランス国内ではホロコーストを意味する言葉として一般的。

館内には、戦時中のユダヤ人の境遇やレジスタンス運動の歴史に関する展示のほか、戦後にドイツを訴追することを目的としてユダヤ人たちが収集した資料を収蔵する「現代ユダヤ資料センター (CDJC)」、虐殺の犠牲となった子供達の写真を展示する「子供記念館(le mémorial des enfants)」、犠牲者の名前を記録した「名前の壁(le mur des Noms)」などが設けられています。

Mémorial de la Shoah
17 rue Geoffroy l’Asnier 75004 Paris
M:Pont-Marie7 TEL:01 42 77 44 72
www.memorialdelashoah.org
開館時間:10:00-18:00(木曜は21:00まで)
休館日:無休
入場料:無料

ユーモア溢れるユニークな博物館

パリには、一風変わったユーモラスな美術館や博物館もあることをご存知でしょうか?

おみやげ話にもぴったりのユニークな穴場スポットをご紹介します。

縁日博物館

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俳優でありアンティーク愛好家のジャンポール・ファヴァンが、個人的に収集したアミューズメントに関連するコレクションを展示する、世界的にも珍しい博物館。フランス語での名称は「Musée des Arts Forains」で、縁日というよりも、移動遊園地といった方がより正確かもしれません。

完全予約制の常設展会場には、「Salons Vénitiens(ヴェネチアの部屋)」「Musée des Arts Forains (縁日博物館)」「Théâtre du merveilleux(素晴らしい劇場)」「Magic mirror(マジック・ミラー)」の4部屋があります。

実際に展示物に触れたり、乗ったりすることができ、博物館というよりも小さなアミューズメントパークのよう。博物館の目玉であるドイツ製のメリーゴーランドも乗車可能です。

Musée des Arts Forains
53 av des Terroirs de France 75012 Paris M: Cour Saint-Émilion14
TEL:01 43 40 16 22
www.arts-forains.com
開館時間:11:00-16:30(要予約)
入場料:16ユーロ

手品博物館

「近代奇術の父」ロベール・ウーダンをはじめ、多くの手品名人を生んだフランスならではの、ひときわユニークな博物館。

館内はオートマタ(機械人形)部門 と奇術部門に分かれており、手品師によるマジックショーも開催されています。オートマタは実際にボタンを押して動かすことができ、子供連れでも楽しく過ごすことができるでしょう。

ショーウインドーには18世紀から現在までの手品グッズが展示され、フランスにおける手品の歴史をつかむことができます。

Musée de la Magie
11 rue Saint-Paul 75004 Paris
M: Saint-Paul1
TEL:01 42 72 13 26
www.museedelamagie.com
開館時間:14:00-19:00
休館日:月・火・木・金曜(7月と8月は閉館)
入場料:9ユーロ

言語学博物館

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2013年にオープンした言語学博物館は、世界中の言語について、模型やアクティビティを通じて楽しみながら理解を深めることができる施設です。

例えば、「f と v の違いは?」「鼻にかけて発音する音は?」といった、クイズ形式の展示も。地下展示場の天井には、語族を1本の木とその枝として表現した模型があり、各言語の関係が視覚的に把握できます。

また、手話の種類や点字、モールス符号など、言葉以外のコミュニケーション手段に関する展示も豊富です。

Mundolingua
10 rue Servandoni 75006 Paris
M: Saint Sulpice4、Mabillon10
TEL:01 56 81 65 79
www.mundolingua.org
開館時間:10:00-19:00
入場料:7ユーロ

色々な美術館・博物館を巡ってみよう!

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パリの美術館や博物館の豊富さ・多様さは、文化芸術を尊重する国柄があらわれている点だと言えるでしょう。

2回目以降のパリ観光に行く人や、留学や移住などでパリ生活を始める人なら、ぜひ中〜小規模の美術館・博物館も探索してみてはいかがでしょうか?

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