ハーグ条約概要:フランス人との国際結婚・子育てに必要な注意とは?

フランスで現地の人と結婚し、子供を持つ日本人は少なくありません。日本人とフランス人の国際結婚において、近年、問題となっているのが「ハーグ条約」に関するトラブルです。

国際結婚やパックスの結果として出産・子育てをする場合に起きがちなトラブルとは、どのようなものなのでしょうか?

今回は、ハーグ条約の概要を簡単にご紹介します。

ハーグ条約の内容と違反した場合の罰則は?日本との違いは何?

ハーグ条約は、正式名称を「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」という多国間条約で、1983年に発効しました。

子供の出国元、あるいは出国元・出国先両方が条約締結国であることが発効の条件で、2019年現在の締結国は101ヵ国です。

ハーグ条約の趣旨:国外連れ去りによる子への悪影響を防ぐ

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ハーグ条約は、国際結婚が増え、その結果として生まれた子供の権利を守る必要性が高まったため、制定されました。

条約の目的は「子の利益の保護」であり、一方の親がもう片方の親による同意なしに、国境を越えて子供を強制的に連れ去る、自国内に引き止める等の行為を行った場合、子供を元の国に素早く返還することができるよう、仕組みと罰則を定めています。

これは、「子供が常居住国でない国に連れ出された場合、環境に順応するための多大な負担が考えられるため、迅速に常居住国に戻すことが子の利益に繋がる」という考えに基づくものです。

離婚後も共同親権が維持される

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日本人同士の結婚とのもっとも大きな違いは、「離婚後も両親が共同で親権を持つ」という点です。

日本人同士のカップルが離婚した場合は、いずれかの親が単独親権を獲得し、親権のない親と子供を面会させる義務もありません。

一方、ハーグ条約締結国の国民同士が結婚して子供をもうけた場合、離婚後も共同親権が維持され、面会権も保証されます。

「離別後の親権の行使」により、子供が片方の親とのみ同居する場合にも、もう片方の親に住所などを通知する必要があります。

結婚中であっても、子連れの里帰りにはパートナーの許可が必要

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結婚・同居中であっても、片方の親の同意なしに子供を連れて里帰りなどをした場合、「子供の連去り」と認識されることもあります。

そのため、親ひとりと子供が国外へ旅行する時でも、もう片方の親が同意した旨の手紙などを携帯するなど、対策をしておくことが重要です。

ハーグ条約に違反した場合の罰則は?

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ハーグ条約は管轄権に関する条約なので、実体法のような罰則規定はありません。違反した場合は、子供の常居住国の刑事罰が適用されることが一般的です。

フランスでは、離婚・別居後に子供(未成年)と同居している親が、もう一方の親に住所を通知しなかった場合、刑法典第227-6条が適用され、6ヵ月以下の拘禁刑あるいは7,500ユーロ以下の罰金を科される可能性があります。

また、結婚・同居中にいわゆる子供の連れ去りが起こった場合は、刑法典第227-7条が適用され、1年以下の拘禁刑あるいは15,000ユーロ以下の罰金が科せられる可能性があります。

フランス人との結婚・子育て前に、ハーグ条約の内容を必ずチェック!

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ロマンティックなイメージのある国際結婚ですが、現実には法律レベルでの様々な問題も少なくありません。

中でも、ハーグ条約は、カップルだけでなく大切な子供にも関わるものです。知らずにトラブルとならないよう、きちんと内容を確認しておきましょう。

ハーグ条約に関しては、外務省による情報サイトもありますので、ぜひチェックしてくださいね。

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