フランスの社会保障制度概要

フランスの社会保障制度は「Sécurité Sociale(セキュリテ・ソシアル)」と呼ばれ、医療保険や年金などを包括しています。

運営は政府から独立した機関によって行われ、申請先も保障の種類によって異なるため、非常に複雑です。

今回は、フランスの社会保障制度の概要と、基本的な内容を解説します。

フランスの社会保障制度は「疾病保険」「家族扶助」「年金」「労災保険」の4種類

フランスの社会保障制度は、大きく「疾病保険」「家族扶助」「年金」「労災保険」の4種類に分類されます。

財源の調達方法は主に2種類あり、税金として徴収する方法か、加入者から保険料として徴収する方法に分かれます。

フランスでは国民皆保険制を採用しており、就職して給与を受け取っている人は、保険への加入が必須です。税金・保険料は、給与から源泉徴収されます。

保険料の額は、個人の収入に応じて決定され、扶養者も被保険者と同様の福祉を受けることができます。

疾病保険(Assurance maladie)

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疾病保険は、病気・出産・予防医療・死亡などに関わる費用の補助を行うもので、疾病の重さと個人の収入に応じて負担額が変わります。

高額医療や難治性の疾病の治療費は保険で全額カバー、所得が一定額を下回る場合は保険料の賦課が免除されるなど、社会保障制度の基本理念である「連帯」を具体化した内容となっています。

家族扶助(prestations familiales)

家族扶助には、主に子育て支援を目的としたものと、住宅補助を目的とするものがあります。

手当ては「Allocation」と呼ばれ、家族手当公庫(Caissesd’allocations familiales :CAF)によって運営されています。

子育て支援としての家族扶助

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子育て世帯向けの扶助としては、3歳までの子供を持つ家庭に支給される「allocation de base」、育児のために仕事を辞めた場合に支給される「prestation partagée d'éducation de l'enfant」、ひとり親家庭や孤児の里親に支給される「Allocation de soutien familial」、出産・育児手当の「allocations familiales」、子供の看病をしている家庭に支給される「Allocation journalière de présence parentale:AJPP」、進学時に支給される「Allocation de rentrée scolaire」があります。

住宅補助としての家族扶助

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「Allocation de logement」は、収入に対する家賃の割合が高い世帯に支給される住宅手当。申請者のデータを元に、CAFが支給の妥当性を判断します。

学生や低所得層向けの住宅手当としては、「Aide personnalisée au logement」があり、学生寮や公営住宅に入居する人などに支給されます。

また、子供の人数が3人を超えた家族がより広い住宅に引っ越しする場合は、「Prime de déménagement」と呼ばれる引っ越し手当を受けることもできます。

手当の支給以外に、住居の改修費用を援助する住宅改善融資・「Prêt à l’amélioration de l’habitat」という制度も存在しています。

年金

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フランスの年金受給は62歳から開始します。現役時代の職業によって加入する年金制度が異なり、受給開始年齢になった時点で41年加入していれば、満額を受け取ることができます。

一般制度としての基礎年金の他に、幹部社員や管理職を対象とする補足年金の制度もあり、いずれも強制加入です。

労災保険

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労災保険の内容は、金銭給付(休業手当、障害給付、遺族年金)と現物給付(疾病や怪我の治療に必要な医療器具など)の2種類に分けられます。

労災保険の保険料の負担は雇用主・使用者が100%で、被雇用者・被使用者の給与額に規定の料率を掛け合わせることにより、保険料が決定します。

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